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大槻の家に戻った頃には、兄貴達はほとんど潰れていた。
兄貴二人とも、オレが車から布団まで担いでいった。
「お母さん、遥ちゃん、お世話になります」
「いいえ。大丈夫です。帰り道、気を付けて下さいね」
もともと酒に弱いのに、余程嬉しかったのか、流石に飲み過ぎていた。
兄貴達は、実家に泊まるしかない状態だった。
それぞれが夫の世話をやいた後、駅までタクシーを頼み、姉さん達は子供の待ってる家に帰って行く。
明日は平日で、子供達は学校があるからだ。
上の雅弘兄貴の所は、十八歳の女の子から、三歳になったばかりの男の子まで四人の子供がいる。
雅俊兄貴には、十歳と六歳の二人の男の子。
ごく普通の家庭を持っている。
姉さん達が帰った後、やっと一息つき、いよいよ親父とお袋に声を掛けた。
「今、一緒に暮らしてる人がいる」
「いつ会わせてくれるの?」
お袋の表情はウキウキしていた。
「その事なんだけど、会わせるのは構わないんだが、結婚するとか、籍を入れるとか出来ないから」
「どう言う事だ?」
「相手は…男なんだ」
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