17人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「すまないな恭介。 家にはお金が無いから、遠い場所に来てもこういう森でしか遊べないんだ」
「そんなことないよ! 父さんと遊べたらそれでいい!」
恭介からすれば、父親と遊べることが今までになかったので、遊べるだけで幸せでいっぱいでした。
でもその幸せはすぐに消えてしまうなんて、知らない恭介は大はしゃぎしました。
恭介ははしゃぎすぎて疲れたところで、父親はある計画を実行しました。
「知ってるか恭介? ここには珍しい動物がいるんだぞ? 探してみたらどうだ?」
恭介はそんなことは知らなかったので、父親の言うとおりに探しはじめました。
恭介は動物を探すのに夢中になり、父親から離れていきました。
これが両親が作った計画の狙いでした。
父親は恭介がある程度離れたのを確認したら、静かに車に乗り帰ってしまいました。
父親が帰ったことをまだ知らない恭介は、存在しない動物を探し続けました。
「ねぇ父さん全然見つからないよ」
恭介が振り向くと父親がいなかったので、恭介は父親を探しはじめました。
「父さーーーん!! どこーーー!? 父さーーーん!!!」
恭介は何度も何度も父親の名を呼びました。
時間が経つにつれ涙を流しながらも、先に帰ってしまった父親の名を呼び続けました。
呼び疲れた恭介は近くにあった大きな木に座り込んでしまい、いつの間にか寝てしまいました。
最初のコメントを投稿しよう!