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その代わり、ヒロムが木曜日の昼休みに「家、遊びに来ない?」って誘ってきた。
「あっ。久しぶりだね。みんな来るの?」
そう訊き返すと、「あー。誘ってないけど」と歯切れ悪く言う。
「えー。なんで?」
「谷、彼女んちだし。あと、みんな用事あるみたいでさ」
「そっかぁ。みんな来ないんだ。どうしようかな」
「あれ。俺のこと嫌いじゃないんじゃなかったっけ?迷うってことは実は嫌い?」
「そこ蒸し返す?」
「まじかー。梨木に嫌われてたか。明日から学校休むわ、ショックで」
とおでこに手をあてて大袈裟に残念な顔をするから笑ってしまった。
「んー。分かった。行くよ」
「まじで?良かった」
たぶん、その笑顔にあたしは自然と引き寄せられたんだと思う。
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