太郎と次郎 1

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「おやおや、また来たのかい」 縁側に座りお茶をすすっている老婆の元へ、二人の少年が歩いてくる。 「だって……お婆の話面白いんだもん!」 元気よく話しかけてくる双子の兄、太郎。 太郎は隣に座る弟の次郎に、 「お前もそう思うよなぁ!」 怒鳴るように尋ねた。 次郎はコクコクと首だけで頷いて答えた。 「相変わらず次郎は大人しいのぉ」 老婆は二人を優しく見つめ、隣へ座るよう促す。 「こいつ、頷く事しかできないから」 弟の頭を撫でながら、太郎は老婆の真横へ座り、その横へコクコクと頷きながら次郎が座る。 「今日はどんな話を聞かせてくれるの?」 太郎は眼を輝かせながら老婆に問う。 「そうじゃなぁ…… 月のお話なんてどうじゃ」 老婆は確認するように双子の兄弟を交互に見やる。 「聞きたい! なっ、次郎!」 太郎の言葉に次郎が頷く。 コクコク。
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