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※side:宮田大地
俺は訳も分からず、俺の腕を引っ張るチビカモを凝視していた。
さっきから行動が意味不明だ。まぁ最初から意味不明なやつだったけど。
息を切らして立ち止まったチビカモは、辺りをキョロキョロして俺を見る。
「宮田先輩、炎条路魔聡という男を知っていますか。」
「えんじょうじぃ?……………ああ、…噂には聞いたことがある。俺が中坊の時に聞いた気がする。」
そう、中坊の時も馬鹿な奴等と組んでいたが、そいつらが口々に噂にしていた。
「何でも、強い奴を倒して自分が一番になりたいみたいな奴らしい。その為には手段も選ばない非道な行いをしてる男だとか何とか…神出鬼没で各地に現れる謎の男っていう噂だったような。」
正直な所よく覚えてはいないが。名前が特徴的だったのでなんとなく覚えていた。
それがどうかしたか?と、聞いてみた。
「椎葉は、その男知ってますか?」
「あー…知らないだろう。あいつはそういうの興味ないからな。聞いたとしても間違いなくすぐ忘れる。」
うん、間違いなく忘れるな。断言できる。
「良かった…!」
「あ?」
「宮田先輩、お願いがあります。」
「な、何だよ改まって…」
チビカモのいつもと違う妙な気迫に少し驚く。
「椎葉を、椎葉を炎条路から守って下さい…!」
……はぁ!?
「待て待て。一から説明しろ。」
チビカモを促すと、奴はまた泣きそうになっていたので若干慌てた。
「その炎条路が…!この、この街に現れて…!椎葉が狙われているんです!お願いです…椎葉を…あの男から遠ざけて…守ってほしいんです…!あの男は、危険です!」
裾を強く掴まれ、ただならぬ様子に固まるしかない。
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