ぷろろーぐ

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  コンコン 「どうぞ」  扉の中から、ダンディーな声が聞こえてきた。 「失礼しまーす……」  恐る恐る扉をあけると、カランコロンと涼やかなベルの音が店内に鳴り響いた。ドアの上にそれが付いていたらしい。  あたしは今、いわゆる"バー"に居る。  もちろん、高校生なのにお酒を飲もうだとか、そんなことは考えていない。  ただバイトがしたいだけなのだ。できればイケメンが働いてる店で。  数週間前、あたしは部活帰りにたまたまそのバーを見つけた。  薄暗い、くすんだ藍色の壁に明るいチョコレート色のドアがミスマッチで、なんとなくあたしの目を引いたのだ。  すると、ちょうどそのドアから店員が出てきた。  金色に染めた髪の毛に、すっきりとした目鼻立ちがうらやましいくらいだった。どう見ても十代。
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