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そこへ瑠一の一言。
『俺か?雅紀の同期で、藍の母方の叔父……藍のアイテだよ。』
―― アイテ……相手……
自分の素性を日和にワカりやすく説明しながら、
まるでついでの様に、オレとの関係性をあっさり暴露しやがった。
「……え?」
聞き間違いかとの疑念を声に出したのは日和だけど、
聞き耳を立てていた周囲の連中の耳にも、
さっきの台詞がしっかり届いたに違いない。
この凍り付いた空気に、瑠一が気付かないはずがない。
なのに、駄目押しを……。
『藍、お前も消費すんだからもっと食え』
悪い冗談のつもり?
他はどうでも、日和と志貴にはオレの口からちゃんと言いたくて……
言いたかったから、ずっと、ずっと悩んでたってのに!
「……黙れ、瑠一……」
顔の熱さが嘘みたいな、自分でも驚く程の冷たい声。
この場に居辛いなんてもんじゃない。
(瑠一の馬鹿……ヒゲ!……ハゲ!)
殆ど衝動的に立ち上がったオレは、瑠一以外のテーブルの面々に短く挨拶すると、一直線に出口へと向かった。
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