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除夜の鐘が鳴り響く。 年が明けて、新たな一年が始まりを告げた。 「うわっ……やっぱスゲェ並んでるな。 早目に来といて良かった~!」 背後にできている長蛇の列を眺めて、俺は胸を撫で下ろしながら動き出した人波に沿って移動を始める。 俺の名前は加賀美 彰(カガミ アキラ)。 地元の普通な高校に通う、しがない男子生徒だ。 全体的に可も無く不可も無い男だと自覚している。 しかし、そんな普通の男である俺にも、正月に″お願い″はあるのだ。 賽銭箱の前に立ち、五円を投げ入れて手を二回叩くと、俺は目を閉じて、居るかどうかわからない神様に祈りを捧げた。 どうか神様、美優と付き合わせてください! と、心で叫ぶ。 美優というのは、俺の幼馴染みの女の子の名前だ。 フルネームは如月 美優(キサラギ ミユ)。 俺が今居る神社の一人娘で、巫女の手伝いをしている。 「……さて、帰るか」 取り敢えず神頼みも終わらせたことだし、さっさと帰ろう。 ついでに美優に会えたらラッキーだな。 なんてことを考えながら、俺は祈りを終え、賽銭箱に背を向け帰路に着こうとした。 ――その時だった。
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