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月明かりが降り注ぐ都会のビルの屋上で一人の少年が瞳を閉じて精神を集中させていた。
聞こえてくるのは怒号と倒壊音そして爆発音。
「……始めるか」
今まで閉じていた目蓋を開ける。眼下に映る景色は黒のライダースーツのようなモノとフルフェイスのヘルメットを着用した悪の組織の一団と赤、青、黄、白、ピンク色の装備をした正義の味方達の闘争。
闘争というよりは正義の圧倒的な蹂躙だったが……。
一方的な正義の蹂躙に静まりかえる心が僅かばかりの緊張に震えた。
少年は自らが微かに震えていることに気付いた。小刻みに震える右手を眺め、口元をいびつに歪ませ、呟いた。
「…………変身」
左手中指に付けられた指輪が輝き、少年は闇に呑まれた。
少年は気にする事無く駆け出し、ビルから飛び降りた。
これから地上で争い続ける正義と悪が駆逐される。
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