*1Light* 急展開、凶展開。

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こんな刺々しい 雰囲気の中、 俺は黒髪の女の子のような 彼をジッ…と見て、 呑気に考えていた。 (…似てる。 でも、誰だっけ…… この顔…表情…?) 思い出しそうで 思い出せない… そんなもどかしさが 俺を襲う。 (明…?違う。 じゃあ誰…「おい。」 「…!」 不機嫌なオーラ全開の彼は 先輩に掴み掛かりながら 視線だけをこっちに向け、 俺に話し掛ける。 「さっきから ガンつけやがって。 そんなに殴られたいか?」 「え?…あぁ、すみません。 えっと…早乙女、先輩?」 確かさっき、 そんな感じの名前を 叫んでいた気がする。 俺がジッと 見ていたことを謝ると、 彼は先輩を掴んでいた 手をパッと離し、 俺のほうを向いた。 ふわり、と黒髪が揺れる。 共に、シャラ…と 耳についたピアスが動いた。 「―あ。」 こっちを向いた瞬間 わかった。 ―不機嫌そうに つり上がった目。 ―人を見下すような瞳。 (あの頃の柚葉に、 そっくりだ…。) 「だから、さっきから 何なんだよお前。 人のことジロジロ 見んじゃねーよ。」 「…すみません。 知り合いとそっくり だったので。」 柚葉にそっくりだと わかると、 もう柚葉にしか 見えなくなってくる。 俺の幼なじみで 家が近所だったからか、 よく遊んでいた。 でも最近はめっきり 会わなくなった。 そんな幼なじみを 思い出していると 唐突に腕を引かれる。 「…っ」 見た目からは 想像もつかない力で 腕を握られ、 その力に思わず 「痛…ッ」と声をもらすと 黒髪の…早乙女先輩は 口を開く。 「五十嵐?だっけ… お前、今から部屋に来い。」 「…は?」 部屋ってどこの? というか 「…何故、ですか?」 「お前には関係ないだろ。」 (いやいや、 大いに関係あるだろ…) なんて心でツッコミを 入れてると さっきまで黙っていた (でも明らかに不機嫌 だった)姫戸先輩が 口を開く。 「ちょっと。 勝手に来といて 何なのお前。 副会長に何の用だよ。」 「あ? お姫様には関係ねぇよ。」 「姫じゃねーよ。 つか乙女ちゃんに 言われたくないね。 あの男に言い様に 使われてる、哀れな乙女。」 フッ、と馬鹿にしたように 姫戸先輩が鼻で笑う。 「…今はてめぇに 構ってる暇ねーんだよ。 お前らと違って… いや、お前らのせいで こっちは忙しいんだ。 お姫様は茶でも 飲んでろ暇人が。」 再びピリピリした 雰囲気に室内は包まれた。 .image=446654359.jpg
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