*1Light* 急展開、凶展開。

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「やっぱ 初めてだったんだ、 ……キス。」 意味有りげに、 溜めていわれた言葉に カッと血がのぼる。 "嫌いなタイプ"から "大嫌いな人間"へと 変わった目の前の男を、 どうにかして 黙らせようと掴む手に 力が入る。 「…っ」 だけど、そんな俺を 本人は至って涼しげな 表情で見やってきて、 益々苛立つ。 おさまらない怒りを 吐き出すように もう一度拳を振り上げた、 その時だった。 刺々しい空気をも 圧倒する、大きな怒声が 室内に響いた。 「ふっっっざけんなああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!こおとくじいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!」 バンッ!!!!!と 勢いよく開いた扉。 扉のすぐ傍には ぜーはーぜーはー、と 息を切らし、 鋭い眼差しでこっちを 見やる、少女にしか 見えない少年がいた。 「うわー…また来たよ…」 「俺はそろそろ来るかな って思ってた。」 「姫先輩! 王子先輩!! あれが噂のっ!!?」 「いや、姫じゃないから。 …まあ、うん。」 「そ、風紀の乙女ちゃん。 相変わらず可愛いねー」 突然の出来事に 驚きながらも、 少し頭が冷える。 …少なくとも、 先輩たちの声が 耳に入ってくる程度には。 (…ぁ…俺…) すっかり正気に戻った 俺は、掴み掛かっていた 手をスッと離す。 「誰が乙女だよ この王子気取りの ロン毛野郎が!!!! 胸糞悪い髪しやがって!!! 鬱陶しいんだよ!!!!!」 「えー…でも 乙女ちゃんじゃん? 髪はまあ、見逃してよ。」 「姫先輩! 風紀委員長が あんなに口悪くて いいんですか!!」 「いや…だから、 姫じゃないし。 あー…まあいいんじゃない うちの会長も あんなだし。 てかあいつ、副委員長ね。」 「だ・か・ら!! 俺様の名前は 早乙女直樹(サオトメ ナオキ) だっつってんだろ!!!!! 乙女じゃねーよ 殺すぞのっぽ野郎!!!」 「あー、わかったわかった。 で、会長に何か 用事あったんでしょ。」 「!!ああ。」 若王子先輩に 突っかかっていた 黒髪の(たぶん)少年は くるっと方向転換をし、 俺の方へ向かってくる。 そして、俺 ……ではなく隣の 金髪の襟首を掴んだ。 「あらやだ、 乙女ちゃん怖~い☆」 「お前を殺すことが 決まった。 さっさとくたばれ ゴミ野郎が。」 「それは困るなー 誰が決めたの?」 「俺だ。」 「なら却下☆」 「おちょくってんのか てめえ…っ!!!!!!」 (…誰かに、似てる? そっくり、だよな?) .
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