恋という侵略者

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あの日の面影 酷く明確に遺る、君の全て。 懐かしささえ感じるようで、 そんな君はいつだって優しくて 「…たとえば君が僕を愛するとして。」 『…え?』 「その時は、ちゃんと伝えてね…今度こそきみに届きますように、って」 酷く物悲しく語る彼女の、どこか落ちた肩と声 だって愛は続かないでしょう? そういう風に、世界は回ってる。 「これでよかったんだよね…君が幸せになれるなら」 『お前…』 「知ってる?…作り笑いでも笑顔だよ、ってこと」 痛々しい微笑は かつて自分がした罪 謝る事さえ、もう出来なくなる。 「じゃあね」 扉が音を立てて閉まった。 恋という侵略者 そいつは大変厄介なもので 『っ…ゴメン…ゴメン…ッ…』 君が座っていたソファー 君が遺した体温に泣きたいくらい吐き気がするよ 自分から別れを告げたというのに 好きになれないからと 君の為に、別れたはずなのに。 恋ではなく、眩暈 そう思わなくちゃ、辛過ぎて 『…俺、馬鹿だなぁ…』 作り笑いでも、曖昧でも 多分、君を愛してた。 愛の絶対性 そんなモノ きっとどうでも良かったのに (それは他との比較によって定義されない) .
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