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高校に入学して1ヶ月で、僕は不登校になった。
これと言った理由は無かったけど、授業についていけなかったり友達が出来なかったり、相変わらずな自分が学校に通う意味がわからなくなってしまったのかもしれない。
登校拒否みたいなハッキリとした意志はなくて、仮病がついつい長引いた、そんな感じだった。
親に怒られても、他人事のように思えた。
担任の先生や学級委員長が何度か家までやってきたけど、話すことは何もなかった。とりあえず明日から登校する約束を交わして、帰ってもらった。
もちろん、一度も約束を果たしたことは無かった。
部屋の窓から見える木々の葉が枯れて、雪が積もり、桜の花が咲いた頃、僕は高校を辞めた。もう諦めていたのか、両親はそのことについて深く言ってこなかった。
「二十歳になるまでに答えを出せ」
父はそれだけ口にすると、いつもの疲れきった顔で夕食に箸をすすめた。
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