プロローグ

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「じゃんけんぽん!」 桜舞う四月の中旬。 学校の昇降口前。 児童はまだ数人しか登校していない、朝の早い時間。 私はランドセルを背負ったまま、仲の良い何人かとじゃんけんをしていた。 グーを出したけど、皆は…… 「はい、里穂一人負け!」 パーだった。 「じゃあ里穂が罰ゲームね!」 うそ……。 「あ、あのさ、あんまり変なこと命令しないでよ?」 若干涙目になりながらお願いする。 だってみんな恥ずかしい事ばっかり命令するんだから。 クラスのカッコイイ男子にウィンクしまくれとか、男子の手にちょっと触るとか 男子にする事ばっかり。 「ふふふ、どうしようかな……あ!」 みんなが面白そうに笑ったあと、ある子が遠くの方を指差した。 「あいつに話しかけるって言うのは?」 「あいつ?」 「ほら、あっちから一人で歩いてくる、昨日来た転校生!」
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