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第一幕:「卵魚の頃」
いつの御世の事だったか。
京に都が遷都され幾数年。
人魚の肉は不老長寿の妙薬として信じられていた。
だがその術は禁忌。
現人神の帝すら死ぬのに、永遠に生きるなど許されるわけがない。
それは神をも凌ぐナニカを生みかねない。
人魚は皇室を、国すらを傾けかねない存在であった。
そこで発令されたのが、――人魚狩り令。
人々は、ただ人魚“らしい”というだけで人を狩った。
人魚とは何かすら知らずに。
帝の威信の為だけに。
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