絶対お兄ちゃん主義!

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冷たい温度が部屋を満たしていた。 朝のこの温度は何日、何年経っても慣れない。 「うわっ、さみぃ……」 ぼやける眼でケータイを開く。 若干暗い部屋でのケータイの画面の光が目に痛かった。 現在5時30分。 我ながら早起きだ。 確か寝たのが3時過ぎなので2時間30分以下の睡眠。 「あー……、眠い……」 スマホの待ち受け画面に小さく今日の日にちが書かれてある。 今日は12月1日。 1年最後の1ヶ月である12月の始まり。 ――そして。 「今日から16歳かー」 まぁ睡眠を取る前から16歳になっていたのだが、気分的に呟いてみた。 「もうちょっとで高校1年終わるなー」 今年1年を振り返る。 ……………………特にない。 「……自分の記憶力の無さにびっくりだ」 成績は良いのだが、こればかりはしょうがない。 多分親友の星丸とかいじれば思い出すんだろうけど。 「一人暮らしってのは寂しいねぇ」 家族も居なければ、恋人もなし。 あるのは一人暮らしするには無駄過ぎる広さの家とそれなりのお金と親友の影響で集めてしまったオタク系のマンガやゲームと記憶力がなく無駄に勉強が出来る脳と健康な体ぐらい。 「別に人間関係に飢えてるわけじゃねぇ……」 誰に呟いたのかはわからない。 とりあえずそれが俺であり、とにかく俺の全てで大事な物など何一つない。 多分無理させてる自分ですら俺は大事にしていないであろう。 それが俺、遠野達裄という人間を語るには充分過ぎた自己紹介であった。
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