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12月16日。
俺こと澤田友也は、ある女子生徒が気になっていた。
クラスの中でも騒がしい方に入る上原夏香の友人の静かな少女、北川里美。
黒く長い髪を流してカチューシャをつけセーラー服を着たおとなしそうな少女、それが彼女だった。彼女を気にし出してから、よく見つめることが多くなったのか自分が気にしていることを友人に気づかれる。
「友也さあ、北川里美のことが好きなのか?」
「え」
「好きなんだろ?」
「え………あ、その………」
顔が赤くなるのを感じて思わずめがねを触る。俺は困るとめがねを触る癖がある。
「て、どうなんだよ」
「好きっていうか………気になる、かなあの騒がしい上原夏香の友人なのに大人しくてうっとうしくないのかなって」
「ああ、上原って結構強引なところがあるからな~」
「私がどうしたの?」
上原夏香の話題で盛り上がっていると、本人が登場した。
「いやっ、その………」
悪口を言っていた訳ではないが、なんとなく慌ててしまう俺達を怪しんでいたが、
「ま、いいわ。里美~」
と、本を読んでいる彼女の元へ行ってしまったのでほっと息を吐いてしまった。
「あいつ、神出鬼没なところあるよな」
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