恐怖‥

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残りの距離1mになり、まるで子供が抱っこをねだるように神楽は両腕を伸ばしたまま飛びついてきた。 『このまま、首を捕まえてからの膝か?』 時すでに遅し。飛びついた神楽の両腕は琢磨の首に巻き付く。 そして、膝か?と覚悟を決め全身に力を込め打撃に備えようとした。 が、膝は来ない。 膝がくるなら、神楽と琢磨の体は一直線にならないといけないはずだが、実際は琢磨の少し右側に神楽の体がくる勢いだった。 首は神楽の両腕でホールドされ、本体は俺の右側を抜けようかという勢い。こうなると、琢磨の経験ではどんな技がくるのか皆目見当がつかなかった。 『まさか、本当に抱きつこうとしたのか?』 甘い!甘い!!甘いーー!!! 甘い考えから、すぐに地獄へ直滑降! ぐいっ!! 巻き付いた神楽の両腕が、俺の首を身体の方へ引っ張る。その力を利用して、神楽の宙に浮いた身体は、俺の首を支点とし回転した。そして、ちょうど神楽の身体が俺の真後ろに来た時、突進の力と支点にした回転力は重力に負け神楽の身体が床に落ちようとする。俺の首をホールドしたまま‥‥ 突進力と回転力を利用し、俺の後頭部は床に激突させられた‥ これは‥‥‥スウィング ブレード!! プロレス技は頭になかった。 大技をくらい、気を失う前の最後の一言。 「‥‥お前は‥‥IWGP王者か‥‥‥」 ガクッ 余裕あるな‥‥
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