3人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
…―とある遺跡の奥深くで二人の男女が襲われていた。
地元の者からは、古き王の墓と呼ばれる石造りの古い遺跡。
その最深部にある、玉座の間と呼ばれる部屋に彼らはいた。
探検家のような衣服や装備を身につけたその二人は、狼のような獣に似た形をした、5メートルはある岩の彫刻に襲われていた。
「クソ!こんな強力なゴーレムが居るなんて知らなかった!」
思わずそう漏らす男の手には、拳ほどの大きさがある真っ赤な宝石。
男は女性の手を引きながら、部屋の中を駆け回っていた。
ゴーレムは逃がすまいと二人を追いかけ、決して部屋の中から脱出させようとはしなかった。
男に手を引かれながら女性が言った。
「せ、先生!その石を捨てて!そうすれば“アレ”ももう追って来ませんから!」
「いや駄目だ!コレの為に私は五年の歳月を掛けたんだ!それを無駄にしてたまるものか!」
そう言って男は女性の手を放し、ゴーレムに向かって手投げ爆弾を投げつけた。
投げられた爆弾は丁度ゴーレムの顔面で爆発し、爆炎と共にゴーレムは土煙に消えた。
「ハァハァ…やったか?」
足を止め、男は呟いた。
しかし、土煙が晴れるとそこには顔に僅かな焦げ痕がついただけのゴーレムが、ピンピンとした様子で立っていた。
「な!?」
男が驚きを隠せずにいると、ゴーレムはその強靭そうな後ろ脚で地面を蹴り、男に飛び掛かった。
最初のコメントを投稿しよう!