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「それじゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
玄関先で菫のおでこにキスをして、恭平さんは仕事に出かけていく。
今はもう「家族」がすっかり板について、恋愛をしていた頃のトキメキは減ったけど、それはそれで人生のステップを一段一段上っているのかな、と嬉しくもある。
菫をあやしながらリビングに戻り、ソファーに腰掛けた。
お腹一杯になった彼女は穏やかな表情で私を見る。
私は、まだ言葉も解らない相手に向かって話しかける。
「ねぇ、菫?今日はパパ、オペがあるんだって。大変ね?」
「菫は大きくなったら何になりたい?パパみたいにお医者さんになるかな?」
話しかけられたのが面白かったのか、菫はキャッキャと笑った。
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