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新垣だった。
新垣が、城崎の腕を掴んで秋穂から引き離したのだ。
「…新垣。何をする」
「真島先生が嫌がってます」
「お前は真島を庇うのか」
「はい。庇います」
城崎と新垣の間に険悪なムードが流れる。この2人はこんなに仲が悪かっただろうか。秋穂は不思議に思った。
「――勝手にしろ」
吐き捨てるように言って、城崎は2人に背を向けた。乱暴な力強い足取りで階段を上って行く。
「行きましょう、真島先生」
秋穂がぽかんとしながらその後ろ姿を見つめていると、新垣に片手を引かれた。突然のことだったので、秋穂は体のバランスを崩しかける。
おっと。小さく呟くと、そのまま引きずられるように階段を下りた。
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