cherry

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でも彼はそれを許さない。 私だも、この一休み中の間に彼の気持ちがなくなることが怖くなっていった。 気持ちの悪循環に、 「バカだあたしは」 わかっている。 母は、ゆうじくんのことを 「あんたの保護者になってくれるからたすかるわ」 と褒めた。 母にとって、私の悪戯は恐怖。 互いの考えを、晒さない相手同士だったので、ゆうじくんの存在は、くっしょん変わりとなっていた。 母は心配性で、 誘惑の虫や変な交友関係をされるよりも、はるかにゆうじに囚われている私のほうが、母は安心だったんだ。 最初はそれでいいと思ってた。 母に対するいい子ちゃん癖は治ってなくて、ゆうじといることでママが安心なんだったら、それでいいやって。 「もっとがむしゃらに反抗しなさいよ。自分の意見を親にちゃんといいなさいよ!」 あーちゃんは言った。 そうだね。わかってる。 ちゃんといってる。 ・・・ううん。嘘。 もう此処でいわなきゃって、ついに決心して、 何回もためらったけど、わたし・・・ 「本当はもっと気にかけて欲しかった、愛されてると感じたかった。」 母は泣いた。 私は、いつも疎外感を感じてて、兄弟3人の中でわたしが一番みんなの顔色伺って、いいこちゃんしてた。 うまいようにかわして、怒りの矛先が私にこないようにして。 それは「よくできた子」っていわれたかったから。 父は弟を、ものすごく可愛がった。 羨ましくて、くやしくて。 姉は、勉強もあまりできなくて、少し不登校気味だったから、母の気持ちは姉に向けられていた。 一人じゃん。 っていつも部屋に閉じこもって、煙草吸って・・・でもママはそんなの見て見ぬふりで。 だからこんな私に、愛をくれるゆうじくんが居なきゃダメだった。 彼に、本当は両親から受けたい愛を かぶせてしまっていた。 どんなに愚かなことか、 その時は気づきもしないで。 ただ、それこそストイックに 求愛していたんだって思う。
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