ルックスランド地下街

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――――― 「なんで降りた場所が休憩室なんだよ!?」 「知るか! とにかく走れ!」 一方で、同じく立方体を狙って別の場所から地下街へ潜入したトニーとライスの二人は、スペンサー達と同様の歓迎を受けていた。 マンホールから飛び降りれば下に警備員の休憩室。 おそらくこの地下街は、そういった侵入を防ぐ為に造り変えられているのだろう。 二人は警備員の服装をして中に入ったのだが、トニーの顔ですぐにバレた。 慌てて休憩室を飛び出し、通路を全力で疾走している。 「どうにかしねぇとヤバイだろ!?」 「どうするってんだ!?」 追いかけて来る警備員は五人~八人ほど。 なんとかできない数ではないが、戦闘に費やす時間が二人には惜しかった。 しかし、このまま逃げ切れるほど甘くはない。 騒ぎを聞き付け、前からも四人の警備員。 「やるしかねぇな!」 トニーは走りながら両手を合わせ、篭手につけられた瑠璃色の宝石同士をぶつける。 そうして両腕に紫電を纏った彼は前方へ手をかざし、床を駆けながら電撃を放った。 「後ろはまかせた!」 「こっちの方が数多いぞ!?」 前方の警備員をなぎ倒し、隣にいるライスへ指示を送る。 しかし、彼は戦いに慣れていない。 “シフトフェイス”として世界に指名手配されている男なのだが、戦闘に関してはただの一般人と大差ない。 訓練を受けた大男を何人も倒せるほど、強くはないのだ。 「こっちに来るな!」 銃を取り出し、乱射する。 何の仕掛けもないただの銃。 腕も並以下。警備員達は足を止めたものの、一人も負傷しなかった。 「……手伝え」 「早くね!?」 トニーが振り向き、同時に放った電撃で二人の大男を打ち倒す。 だが、前にいた警備員達はまだ全員倒せていなかった。 「おとなしく投降しろ!」 電撃を受けていない一人が刀を振り上げ、距離を詰めてくる。 狙いはライス。 「ッ……わ!?」 とっさに後ろへ飛んで避けたが、警備員は続けて斬り上げてくる。 そこで、 「鬱陶(うっとう)しい!」 トニーから紫電の纏った拳を顔面に見舞われ、警備員は倒れた。 「しっかりしろよ」 「無理だろ! お前さんらと一緒にするな!」 トニーは“元超人集団”の一員。 この場は彼一人で切り抜けるしかなかった。
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