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同じ制服に身を包む。
いつもの教室に、いつもの顔。
与えられる問題を解いて、与えられる課題をこなす。
自分がかつて身を置いていたこの場所と時間は、あの頃とても退屈で窮屈なものだったのに。
離れてみたら、その記憶は甘くむず痒く、どこか懐かしい。
気づけばいい年をした大人になっているというのに。
違う形でこの場所にいるせいで、俺はもう少年ではないというのに大人になりきれないまま存在しているのかもしれない。
江崎祥彦(えざきよしひこ)35歳。
高校教師。数学担当。
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