MASQUERADE

2/6
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
僕はこの仕事が嫌いではない、好きだから続けている、だから嫌いではない でも口をついて出る言葉は 「嫌になる…」 僕のポケットにあるごく小さなUSBメモリーの中に刻まれた大量のデータ、すべては僕の副業であるクッパ城内情報屋の大事な商売道具なのだが、そのデータの一握りが僕の気分を沈めていくのだ 「二人ともあと43日でお別れか…まぁヘイナさんもお腹に子供抱えながらじゃ大変だしナギさんも他にやりたい事見つかったのなら、僕には何も言えないや」 誰にともなく呟いてみた 情報の中には誰が入隊して誰が脱退するか、というのももちろん存在する、過去の記録と総合すれば一番多い情報かもしれない 来月には僕の友達が二人も軍を抜ける、それを知っているのはまだクッパ様とその側近数名のみであり、僕を除く他の兵士はたとえ上級兵士であろうと知らない事実である 情報内容について誰かに相談すると言うことはすなわち自分の持つ情報を流すということ クッパ軍の諜報員でもある僕にとっては商売道具が一つ減るだけで死活問題になる可能性がある そんな誰にも言えない悩みは空に漏らすのがいい、答えは返って来ないが一時的にわずかな余裕が心の中に生まれる
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!