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ふふふ、とまるで子供のような笑い声が言葉から漏れ出した。
「まったく、本当に君は優しいなぁ。流石は僕の弟だよ」
それは心から楽しそうで、無邪気な笑いだった。
「侯爵、具合は?」
ふいに振り向き、部屋の隅に佇んでいた侯爵に言葉が問う。
侯爵は懐から懐中時計を取り出すと、何度か螺子を回してから開いた。
「問題ないかと」
くるりと此方に振り返り、ニッコリと笑って言う。
「だってさ。良かったね」
『……そうか』
それぐらいしか、俺には返す言葉がなかった。
「よーし、そうとなったら早速、捜査開始だ」
言葉のその宣言が、虚十矛兄弟のターン開始の合図だった。
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