運命の夜

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「……よし」    アーミスは、大きく頷いて、立ち上がった。  ___あの、麦わら帽子。  たかが15万とか言ってたけど、あの顔は「たかが」じゃなかった。  麦わら帽子に必死に手をのばすあの顔は、麦わら帽子を心底大切にしてる人の顔だった。  そうでもなきゃ、帽子のために船から落ちようとする奴がいるか?  アーミスは自分の船室から飛び出した。  目的地は、甲板。    実は、海の方へ落ちていった帽子のような軽いものは、船にうまいこと引っかかっている場合が多い。  そして、その帽子を取りに行く術も、アーミスは知っていた。
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