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「・・・・・・」
コンコン━━
「お嬢様、紅茶をお持ちしました」
「入りなさい」
ガチャ━━
「失礼します」
台車に紅茶と簡単なお菓子を乗せ凜華の前で止まった。
「成果の方はいかがでしょうか?」
「まぁまぁね」
「ご満足いただけたようでなによりです」
「いいえ、まだよ」
「と、申されますと?」
「愛と舞をこの屋敷に連れて帰るわ」
「ですが式家のメイド長であるお二人を連れて帰るとなると中々骨が折れますよ?」
「あの子達のためだったら骨の二、三本喜んで折るわ」
「お嬢様にそう言って貰えるなんて愛さんと舞さんは幸せな方ですね」
「・・・・・・そうね」
美夜、あなただって同じよ。
口からこぼれ掛けた言葉を飲み込んだ。
「準備は出来てるのかしら?」
「はい」
「それじゃあ・・・」
コンコン━━━
「凜華様、お客様です」
「誰?」
「新城雄仁って言ってます」
「また間の悪い所にきたわね。あのバカは」
「バカで悪かったですね」
「あらもうそこに居るなら入れば良かったじゃない」
「ノックして開けて僕が入って来たらスゴく不機嫌な顔するじゃないですか」
「安心なさい。開けなくても不機嫌よ」
この男は本当に役立たずね。
どうして今来るのかしら?
ガチャ━━━
「おはようございます」
「挨拶は良いわ。用件」
そのヘラヘラとした顔・・・本当にイライラさせてくれるわね。
「姉さん達が買い物に言っててひとりで退屈だから遊びに来ました」
「・・・・・・」
「新城様・・・」
美夜は頭に手を当てながら目を閉じた。
「え?」
「あなたは自分の退屈を潰すためにわざわざ私の時間を使うってそう言いたいのかしら?」
殺意。
声色、視線どれを取ってもそれが感じられた。
「も、もしかして怒ってます?」
「いいえ」
「そう・・・ですよね。はぁー良か「とりあえずあなたを一度殺しましょう」
「・・・・・・」
「お嬢様落ち着い「うるさい」
美夜の言葉に聞く耳を持たなかった。つまり、それだけ感情的になっているということである。
これは凜華にしては珍しいことである。
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