一章

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「総司はちと我儘だからなぁ、前の小姓さんも手を焼いていて、つい先日辞めてしまっただろう。」 「新しい小姓、と言うわけだね」 苦笑いを浮かべて沖田さんは言った 「新しく小姓をさせて頂きます、いろはと申します。」 「苗字は?」 「ありません、捨てました」 そういうと沖田さんは驚いた顔をした。そして… 「なんで?」 「…総司!!」 近藤さんは 沖田さんに怒鳴った 私が苗字を捨てたことに 何か暗い理由があることを 気付いていたのだろう 「いいんです近藤さん。これから仕える方です、私のことを知っていただいたほうがやりやすいですし…」 そうか…?と呟き苦い顔をする近藤さんとは裏腹に沖田さんは何食わぬ顔をし、言葉を足す。 「で…、どういうことなの?」 むしろこの会話を楽しんでいるようにも見えた。 .
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