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電車に乗ると沢山の人々がいる。
最近、描写力不足に悩むレントンはターゲットを決め頭の中で描写を開始する。
これって、もしかしたらクリエーター『あるある』?
HGだかRDだか忘れてしまったけれど、坊主頭の歌が鳴り響く。
今日のターゲットはあの子だ。
窓際に体を預けながら景色を眺める女性は何処かはかなげで、右手を窓に添えて立っていた。
少し濃い目の茶色が、ミニスカートの派手さを落ち着かせたものに変えている。
左肘に下がっている黒のバックからもそれが伺えた。
ふいに、彼女のスマートフォンが鳴り出す。
この曲は・・・・・・
昨年惜しくもレコード大賞を逃したあの曲だ。
一体、彼女の声はどんな素晴らしいメロディーを奏でるのか。
電車の揺れに合わせて、レントンの鼓動も高鳴っていく。
いや待てよ。彼女が電車の中で電話を取るなんてマナー・・・・・・
スマートフォンに出た彼女はこう言ったのだ。
『はっ? ありえなくね? マジでっ? っつうか聞いてないんですけどぉ?』
メロディーよりも気になるのはイントネーション。
言葉全てが疑問文だった。
そんな、
『期待は裏切られるよねー』
って話。
フォォォォー!!
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