キャバクラ

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バンドの元彼からは定期的に連絡がきていた。 別れても普通に話せる関係。 懇願されて別れた時、 元彼は「頭を冷やしたいから、時間をおきたい」とも言った。 いつかよりを戻せると信じていた私は、元彼の連絡を拒否することはなかった。 同棲していた時の荷物さえ触れないくせに、本人とは普通に会話が出来る。 自分が不思議だった。 「ツアーが決まった」 「スタジオだった」 元彼からの報告メールに目を通しながら、付き合っていたあの頃抱いていた恋心が 跡形もなく消え去っている事に気付いていた。 あの別れの時感じたショックは、いつの日か当人への思いとは別の次元に進み、ただの失望として心に広がっていた。
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