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「仏の副長と鬼の副長ですね。噂通りです」
「ほう。その噂はどこから湧いてでてきたことやら……なぁ、平助」
「や、やめてくれよ、土方さん。噂だよ、噂」
冷や汗をだらだら流しながら平助は手を振ってみせた。
「ふんっ、まぁいい。それより、ここに入隊するからには守ってもらわなきゃならねぇことがある」
「法度、ですか?」
「ああ」
土方は丁寧に丸められた紙を取り出すと、それを広げて伊東に示した。
軍中法度
一、役所を堅くあい守り、武法乱すべからず。
一、敵味方、強弱の批評、一切停止のこと。また、奇矯、妖怪、不思議の説を申すべからずのこと。
一、昼夜に限らず、急変これありと候とも、決して騒動いたすべからず。
一、私の遺恨ありといえども、陣中において喧嘩口論つかまつるまじきこと。
一、組頭討死におよび候とき、その組衆、その場において死戦を遂ぐべし。
(一部省略)
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