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「ブレイムドラゴン、昔なにがあったんだ? もしなにかあったのなら、話してくれ」
「誰だ、お前……!」
鎌鼬が俺に向けられ、急旋回でかわす。
「ダン!」
「サミド、そっちに攻撃行ったらよろしく!」
ギリギリまでドラゴンから離れているみんなと、そのそばにいるサミドに一瞬目をやって、叫ばなければ声が届くことはないと確認する。
男子は俺を呆然として見ていたけど、ドラゴンの吠え声で我に返ったのか魔法を放とうとした。
「だめだ!」
「ダン君……でも」
不満に思いつつも止めてくれた男子のそばに降りて、ファリに結界で守っててもらう。
「えっとー……リック、だっけ。なにがあったのか教えてくれ」
「呼んだら、人に使われるつもりはないって……」
「使い魔をこき使うつもりは?」
「ないに決まってる」
なら大丈夫……。
「少し下がってて。静めるから」
「下がるって……わかったよ……」
リックが五歩ほど後ろに下がってから、再びドラゴンの顔の前に来るまで風を使って上昇する。
「話を聞かせてくれ」
「人など森荒らしをする野蛮な生物! そんな奴らには話すことも、従うこともない!」
「住みかを追われたのか……でも、全ての人がそうやって、森を荒らす訳じゃない。少なくとも俺はお前たち魔物が好きだよ」
「そんな言葉、信じられると思うか!」
「信じなくてもいいよ。ただ……」
リックがやった傷だろうか。肩の切り傷を治してやると、ドラゴンはびっくりして風を起こすのを止めてくれた。
「きっとお前を喚んだ人間はそういう森を荒らすようなことはしないよ」
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