33人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
(松田視点)
気がつけば、いつだって眼が彼を追っていた。
好きなんだ、と気付いたのは半年くらい前。
キッカケや理由は特にない。
自然に、自分の中の全てが彼に、横山に反応するようになっていた。
『松田さん』なんて横山に名前を呼ばれると、胸の奥がほわぁ、と暖かくなる。
偶然、横山と肩がぶつかったりなんかしたら、当たった所だけ厭に熱を持ってたり。
劇場で出逢って、「おはようございます」なんて微笑まれたりしたら、もう…心臓の鼓動が止まらない。
結局。と、自分の思考を整理した結果。
やっぱり俺は横山の事が好きなのだ、と改めて思った訳で。
「松田さん!」
「……なんですか」
なんて事をつらつらと考えていたら、頭上から特徴的な声が降ってきた。
「なんですか、はコッチの台詞ですよ」
突然、寝転んだかと思えば、眼を開けたままピクリとも動かないから。
なんて、Q太郎は焦ったように捲し立てる。
そういえば、今日は珍しく個室の楽屋を貰ったんだった。
その事もQ太郎の事も、すっかり忘れて。
放置プレイみたいだ、これ。
申し訳なかったかな。
.
最初のコメントを投稿しよう!