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同じ匂いがするなら、尚更。
今までの暗く、赤く、闇夜の世界。
麻痺した感覚、埋めることのできない孤独。
満たされない感情。
走り出したら自分では止めることもできない歯車。
救いの光を望み、求めていたはず。
それにすがりたいと思うのは、自然なことです。
「確かに、私は貴方と同じでしょう。
でも、正義と正当化しなければ自分を保てなかった貴方とは、一緒ではありません」
私は光にはすがりません。
より一層光を強くさせたい、だから私は刀を持ち続けます。
「彦斎、貴方の…負けです」
貴方が望んでいた、終わりにしてあげましょう。
次の技で勝負が付くと悟った彦斎は、見開いていた瞳を一度閉じてから開眼した。
全てをかけると、互いに伝わる。
刀の全て、それぞれの思いの全て、命の全て。
彦斎は刀を居合い抜きをするように構え、私は平晴眼の型をとった。
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