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「もうお転婆で困っちゃう。たまにはあなたも叱ってね」
香澄は立ち上がり少しだけ曲がってしまった写真を直し笑いかけた。すると武史も笑い返してくれた。
その顔は苦笑しているようだった。
「おおめにみてくれてるよ」
「そうだといいけど……」
香澄はため息混じりで寿々に返事をし、もう一度武史に笑いかけた後、寿々の向かいのソファーに座った。
「でね、あの時あいつがさ……」
「そうなの?フフッ……――」
二人は再び他愛のないおしゃべりを再開した。
優しい陽射しの中、二人の楽しそうな会話が聞こえてくる。
武史はいつもと変わらぬ笑顔でそんな二人を見ている。
その脇では武史の夢がそっと飾られていた……――。
『ポケット』完
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