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黒い羊
恥の多い生涯でした。
自分はまるで真っ白な羊の群れの中に、ぽつんと生まれた黒い羊のようでした。
仲間達と同じものを喜べず、同じものを悲しめず、同じものを食せず、仲間達が心地よいと感じるもの――愛や優しさや思いやりを理解できない惨めな黒羊にできることは、黒い毛皮に白い粉をまぶし、白い羊のフリをすることだけでした。
そうして、自分は今も、仮面をかぶり、道化を演じ続けています。
太宰治
『人間失格』より抜粋。
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