~エピローグ~

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~After~ 私は今、白くて清潔な空間の階段を上がっています。 ここは病院。 先輩のお見舞いに来ました。 先輩が私の告白を聞かないで、気を失ってしまった後はとても淡白な物でした。 私の声を掻き消すほど響いていたのは何機あるかも分からない、沢山のヘリコプターのローター音でした。 其処から降りてきた、多分警察なんだろうなー…っていう武装した人達が私達を助けてくれました。 勿論、校務員室にいた相澤先輩や凛堂さん、藤堂さん他、体育館から逃げ出して生き延びた人はみんな救出されました。 怪我をしている人、憔悴している人、錯乱している人、…救出された人は、みんな病院へ直行でした。 先輩と私は別々のヘリに乗せられ、別々の病院に移送されてしまいました。 怪我をしていないので当たり前ですが、私は数日で退院出来たました。 私は、ずっと先輩のことが気になっていました。 《約束》が守られているか…。 守ってもらわなくちゃ、困るんですけどね。 あんな事件の後だから、学園はお休み。 それでも、どうしても気になったから、色々な《大人の事情》の処理に追われている先生方から先輩の病院を無理矢理聞き出して、今此処にいます。看護士さんに病室の場所を訪ね、階段を上がっています。 鼻を突く清潔すぎる故の人工的な匂い。 あまり好きではない。 階段を上がりきり、ある病室の前に立つ。 《大咲一平》 個室なのだろう、病室扉脇に掛けられたネームプレートはそれだけ。 大丈夫、先輩はきっと約束を守ってくれた。 お見舞いの品だって持ってきた。 腕の中にあるそれらは、花束や果物、先輩の好きそうな色々な物、相澤先輩と凛堂さんから押し付けられたものの数々で少し重い。 扉の前で呼吸を整える。 心臓は何故か早鐘を打っている。 大丈夫、きっと大丈夫。 そう言い聞かせながら、私はゆっくりと…本当にゆっくりと病室の扉を開く。 願わくは、扉の向こう側に、希望と幸福を…。 ~End~
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