~嵐が来る~

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瀕死ってやつだったのかな。 部屋から出るとすえた臭いから一変、スッキリとした空気が肺の中に入ってきた。 おぉ……さっきの部屋、男臭がすごかったのな。健康的でないぞ。風呂にでも入るか。 『誰もいねェな』 口に出さなくても知ってるよ。気配がしねーんだから。 で、ここで驚いたのが体に貼っ付いていた魔方陣の札が、歩くたびにはらはらと剥がれ落ちていった事。 落ちた札の魔法陣がうっすらと消えて行き、ただの紙切れと化してしまった事。 当人の回復が完了すると同時に魔方陣の効果と痕跡を消す、その完成度の高さ。 「こりゃ便利だな」 『何がだよォ?』 「傷の回復だけじゃなくてさ、今さっき回復呪文に使った魔力も元に戻っちまってら」 『そりャお前ェが飲んだ液体が関係してんじャねェのか?』 「それもあるだろな」     ちなみに液体に関しては即効性ではないのは知っている。魔方陣と液体の相乗効果で魔力回復ってのがあるのかもしれない。 どのみち人間には不可能な魔法なこった。あー! この事を知っていたならもっとどでかい呪文で回復して魔力減らしときゃ良かった。 そんな事を思いながら、風呂に入って体の汚れを落としてから俺は行動に移り始めた。    
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