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僕らの居場所
1977年。
僕らの溜まり場、『なかよし堂』。
住宅街の真ん中に、昔っからある駄菓子屋だ。
ばあちゃんが居眠りしながら店番をする、至ってふつうの、どこにでもあるような駄菓子屋。
ばあちゃんはいつも、店の隅に置かれたイスにちょこんと正座していた。
ニコニコと笑い、しわしわの手で10円玉を受け取ってくれた。
僕らが糸引き飴を選ぶ時は、入れ歯をカタカタ言わせながら、『当ーたーれー』とおまじないをかけてくれた。
そのばあちゃんが、去年の秋に突然死んだ。
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