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…産まれて初めて見た景色は、優しい目をした少女と、その両親。
捨てられていた惨めな自分に、声をかけてくれた。
「安心していいんだよ。ホラ、おいで」
垂れた目元が印象的な少女は、おっかなびっくりの手つきで、自分を抱いてくれた。
そうして、持っていたタオルで、びしょ濡れの頭を拭いてくれた。
…気持ち良かった。
「あら、喜んでるわよ…良かったわねぇ」
「うん!ホントに、ホントにいいの?飼っても」
「だって、サヤちゃんが珍しく"おねがい"ってパパに頼んでるし…私も、ワンちゃん大好きだしね」
「そうなの?ママ。俺、初耳だけど」
「えー、パパ、知らなかったの?ママ、ホームセンターでしょっちゅうペットコーナーに行って、いっつもワンちゃん見てるんだよ」
「余計なことを言わないの、ホラ、ワンちゃん風邪ひくから、タオルできちんとくるんであげなさい」
うん。と呟き、サヤちゃんと呼ばれた少女は、自分を温かなタオルの中に、包んでくれた。
「今日はなんの夕御飯?カレー?シチュー?」
どうしようかなぁと笑う母親へ、なんだいつものメニューかぁとつまらなそうに呟く父親。
文句言わないの、パパ。と楽しげに父親の顔を覗きこみ、自分を抱えてスキップを始める。
…大事な家族。
大切な、自分の家族。
自分を一員に迎えてくれた、家族。
無情にそれを壊したのは……あいつらだった。
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