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そして頭も悪くはないらしい。
大人しく引き下がったところをみるに、今俺には逆らうべきでないと判断したのだろう。
それだけでも上出来だ。
俺の中で密かに沢城の株が上がった時、別の人間が挙手をした。
「はいはいはーい。発言してもいいっすかあー?」
随分と元気な人間のようだ。
「どうぞ」
一瞥し、許可する。
「ありがとうございまーす」
にっこりと人当たりの良い笑みを浮かべてみせた彼は確か、鷹成樹(タカナリ イツキ)。
こちらもまた随分と女性受けのよさそうな、沢城とは違ったタイプのイケメンだ。
深い深い海底のような蒼い瞳に目がいく。
彼の父親は編集業を中心とした芸能界の重鎮、母親は今を時めく大人気小説家。
こちらもまたステータスが高い。
「この際、前任の総隊長がどうなったかはどーでもいいとして、なんで鈴丘さんが後任なのー? 俺結構学園のこと詳しいんだけど、”鈴丘”なんて名字の子、知らないんだよねー……?」
そこまで言い終わると、まるで『逃がさない』と言わんばかりの鋭い眼光を向けてきた。
なる程。この俺を探ろうというのか。
なかなかいい度胸をしていることだな。
「存じ上げないのも無理ないですよ。僕は昨日この学園に転校してきたばかりですから」
お得意の社交的笑みを浮かべてみせれば、鷹成は目が点になる。
面白いな。
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