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言うが早いか、手前にいた一人の刀を弾き落とし、続け様にもう一人の右手を斬る。
動きが速すぎて、斬られた当人ですら気付けない程だ。
男の剣先が、喉元を捉えた。
「僕らもさ、暇じゃないんだよね。さっさとどっかに行ってくれない?」
「お、前ら、新選組か?」
「だったら?」
くそっ、と小さく吐き捨て、切っ先を避けて刀を拾う。
他の転がっている奴らを叩き起こして、互いに怪我を庇いながら逃げていく。
去り際に一人ががなった。
「小僧!このお礼参りは必ずしてやるからな!」
奴らが去った後、最初の男とは別の、もっと年下に見える青年が近づいてきて覗き込んだ。
「なあ、お前、大丈夫か?」
「五月蝿い」
伸ばされたてを払い除け、また地面に刺した刀に縋って立ち上がる。
「お、おい、立って大丈夫なのか?」
年下の方が声を掛けてきたのと同時に、地面が回った。
それきり、意識が途切れた。
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