5459人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
汗が一筋流れ落ちて、背中のちょうど真ん中を通り過ぎる。
その感覚が気持ち悪くて、スーツの上から手の平でぐっと押した。
朝にも関わらず、容赦なく照り付ける太陽のせいで、うだるような暑さ。
ニュースは、連日猛暑日だと告げる。
またこの季節がやって来た。
東京に越してきて、7度目の夏。
1番嫌いな、夏が――。
ぐらりと視界が揺れる。
すぐ側にあったバス停のベンチに、腰掛けた。
最寄り駅まで、徒歩10分。
たったそれだけの距離が、私はスムーズに歩けない。
最初のコメントを投稿しよう!