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「やめるのじゃ、死神大王から逃れるなど不可解じゃ!!」
「なんと言われても僕はこの手を離すつもりはない」
薄暗くなってきた空の下、僕とココロは走る。
何処へ向かうかなんて僕にはわからない。
死神大王が死神界という異世界の住人ならば、彼女の言う通り何処へ逃げても逃れるのは不可能だろう。
でも、それが僕の脚を止める理由にはならないのである。
例え僕の周りに不幸が集まるとしても。
そんなもの、僕の足枷にはならない。
「離すのじゃ!!
おぬし一人で逃げるのじゃ!!」
「嫌だ!!
僕はもう自分の不幸を理由に誰かを見殺しになんてしたくないんだ!!
あんたが僕に生きていて欲しいように、僕もあんたに生きていて欲しいんだよ!!!!」
「マコト…」
「逃げるんだよ、ココロ!!」
僕はその時、初めてその死神少女の事を名前で呼んだ。
とても、新鮮な気持ちだった。
ココロは少し間を空けると。
「ふ…、仕方ない奴じゃのう」
諦めたかのようにそう言った。
「生きよう、マコト」
「あぁ」
この時、確かに二人の絆は深まったのである。
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