終わる世界と始まる世界

4/11
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
死神大王はココロに斬りかかろうとしていた。 その大きな刃が、彼女を狙う。 駄目だ。 ココロが死ぬなんて。 彼女は、僕の生きる希望なんだから。 死ぬなんて、駄目だ。 僕達は、二人で生き残る!! 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」 僕は叫ぶ事で勇気を出し、ココロを刃から庇うように前に出た。 死神大王の大鎌は止まらない。 刃は、そのまま僕を斬り裂いた。 「ぐぅ……ぅ…」 痛い。 痛い。 でも動ける。 流血は無かった。 僕の予想通りだ。 やった。 死神大王の攻撃は、僕には効かない。 あとは死神大王の大鎌を奪えばいい。 それでこいつを斬れば、僕達の勝ち。 死神大王は自分自身の刃で死ぬ事になる。 僕は勝ち誇るように。 出し抜いてやったと言わんばかりに。 死神大王を見た。 見た。 見てしまった。 「そんな…」 死神大王は、大鎌を持っていた。 それは、両手に一振りずつ。 一振りは死神を殺すための大鎌だ。 ならばもう一振りは当然。 「鎌が一つだと、誰が言った? 死神の義務は人間の魂を刈る事。 人間を殺す武器を持っていないわけがなかろう」 人間を刈る大鎌。 よく考えればわかる事だった。 なのに、浮かれた僕は思考を止めて。 馬鹿だ。 出し抜かれたのは、完全に僕だった。 「貴様から、死ね」 その時僕は死を覚悟した。 終わった。 全てが、終わった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!