TAKE1:孤独な男は一匹狼にもなれない

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今月も鬱な時期がやってきた。 『抱かれたいランキング』 『抱きたいランキング』 ………知らない世界に来てしまったのだ、俺は。 こんな世界、知らない。知らない。 おとぎの国の世界だ。 「さぁーっ今月もはーじまーるよー!!抱きたい・抱かれたいランキーングッ!」 キャァァァ!と、体育館に黄色い声が飛び交う。 ここは男子校のはずだ。何故、何故に黄色い声などが混じっているのか。 不思議すぎる生命体が、この学園大半を占めていて、俺だけが異質な存在になっている。 いや、違う。 こいつらが異質なわけで、俺はその異質な中に独りで誤って交じってしまったのだ。 世界的基準は、俺が正しく、あいつらがおかしい。 そうなっているはずだ。 しかし、この場所限定でそんな基準は通用しないのだ。 お前ら社会に出たら浮くぞ、絶対に浮くぞ、と言っても不思議な生命体達はそれを負け惜しみの言葉と捉える。 だったら何も言うまい、と思いながら柵の向こうを冷めた眼差しで見つめていた。
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