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「いいから付き合えよ。今日しか休みねぇんだから」
「そういえば、部活休みなんだな」
谷川はバスケ部だったはずだ。
やっぱり運動部だからなのか、休みはなかなかない。
「今日は特別にな。だから俺に合わせろ」
「………ったく、あたしの優しさに感謝しろよな。この暴君野郎」
「……へーへー。感謝してますぅ」
「うわーうざーい」
ホント男子って子供だ。
あたしはイラッと込み上げてくる気持ちを抑える。
アニメの再放送を見られないのが残念で仕方ない。
梨子が録画してくれてると信じるしかないな。
あたしたちは無言で歩く。
学校の玄関を出たところで、部活仲間に出くわして冷やかしを受ける。
「おい何だよ谷川。女子なんか連れてさ。デートかぁ?」
「ち……っ、ちげーよ!つーか、こんなの女に見えねぇし!」
まぁ……谷川がこういう反応をすることぐらい予想してたけどね。
「おいそれはいくら何でも失礼じゃね?」
そう言いながら、ゲラゲラ笑う。
その下品な笑い声に、あたしは顔をしかめた。
谷川はそんなあたしの表情を見て、舌打ちする。
あ、多分今面倒なことになったとか思ってんのかな。
「おい長谷川。このこと他の誰かに言ったらあのことバラすからな」
「へっ」
「別にデートでも何でもねぇけど、面倒臭い噂流されたくねーんだよ!誰かに話したら、この前のこと皆にバラす」
「おいおい、それはねーよ!」
長谷川とかいう男子は、青ざめてキョロキョロと辺りを見回した。
「わかった。言わないから。つーか、お前人の弱み握って性格悪いぞ!」
「握られる方が悪い」
「くっそ、ぜってーお前の弱み握ってやるからな!」
長谷川は悔しそうに顔を歪めると、走り去っていった。
「……これで大丈夫だろ」
「あんた性格悪いな」
「うっせーな。バラされるよりマシだろ」
「別にバラされたところで、あたしと谷川が付き合うことはまずないってことぐらい………普段のあたしたちのやり取りを見てるクラスメイトなら分かるだろ」
そう言うと、谷川はふんと鼻で笑った。
「ちょっとでもお前と噂になるのが嫌だ」
「………あーそーですか。口出してすみませんでした」
いちいち人を不快にさせる奴だ。
平峯さんにフラれてざまぁ
「おい、また誰かに見つかったら嫌だからさっさと行くぞ」
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