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<晃ちゃん目線>
和幸を社長室から追い出し、俺は携帯に触れる。
履歴画面からその名前を見つけると同時に電話をかけた。
「……なんやねん?」
彼は不機嫌さが分かる声で俺に問う。
「1つ頼まれてくれないか?」
「いやや。」
タバコを吹かせる。
煙は上り、上り果てた時に消えていった。
「そう言うな。和幸のためだ。」
彼は返事を躊躇う。無理もない。彼は和幸が好きで好きで仕方ないのだから。
「………和にぃに何かしたら許さへんで?」
「何もない。」
「そうやって嘘付くのやめろや!俺知ってんねん、お前が和にぃの事…」
彼の言葉を言い終わるより先に、俺は彼の言葉を停止させる。
「黙れ。」
彼はそこから先を言わずに、小さく「ごめん」と呟いた。
「俺もお前も一緒やな…。カッコ悪いわ俺ら。」
その言葉に反論はない。
「それで、答えは?」
「かりやで?」
「あぁ、分かっている。」
電話を切ろうと耳を携帯から離した後で俺は後悔した。
「俺は晃にぃのそーゆーとこは好きやで…。」
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