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「若、どうしました?」
「いや、……何でもない」
りおが背負ってしまった苦しみや悲しみが一瞬だけ見えた。
俺の傍に居続けることは見なくていいものをこれからも見ていかなければならないということだ。
それでもりおは顔を上げて前をしっかり向いて歩いていくんだ。
すべてを受け入れて強く優しくなっていく。
悲しいことも辛いこともすべて受け入れて強く優しくなっていく。
『俺は―――お前に触れるのが、怖いんだ』
『俺のいる世界はお前が今日見てきた世界だ。逃げ出したいのなら…今なら手離してやれる…』
手離すことなどできないくせに今夜ばかりは手離すことを覚悟した。
『迷わないよ、わたしは奏さんのそばにいるよ』
ぐすっ、
『どんなに苦しくったって辛くったって逃げ出さない。
これからいろんなことがあっても奏さんから離れたりしない』
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